ファイルを受け取ろうとダウンロードボタンを押しただけなのに、いつの間にか画面がクレジットカード番号の入力ページに切り替わり、再起動してもまた同じ画面に戻ってしまう。実際にこの症状で、同じ日に複数の方からご相談をいただきました。
慌てなくて大丈夫です。ご相談いただいたケースでは、パソコンそのものが壊れていたわけではなく、原因のソフトを取り除くことでもとに戻せました。まず大事なのは、カード情報を入力しないこと。入力していなければ、その時点で金銭的な被害は起きていません。
何が起きているのか
これは「PC App Store」という名前のソフトが、知らないうちにパソコンにインストールされて起きています。広告を勝手に表示する「アドウェア」と呼ばれる種類の迷惑ソフトで、ウイルスほど危険ではないとされますが、ブラウザ(EdgeやChromeなど、インターネットを見るソフト)を勝手に操作して広告や偽の画面を出し続けます。
出てくる画面はブラウザのそれらしいデザインをまねていて、「Create Your Account」のような英語のタイトルとともに、氏名・カード番号・有効期限・セキュリティコードの入力欄が並びます。「初回1週間は無料、その後は自動的に月額課金」といった案内や、Stripeなどの決済サービスやセキュリティ関連の実在するロゴが添えられ、本物のショッピングサイトのように見せかけています。ここに情報を入力すると、実際に課金されたりカード情報が悪用されたりする恐れがあります。
なぜ起きるのか
きっかけになりやすいのは、ファイル転送サービス(データ便など)やフリーソフトの配布サイトです。目的のダウンロードボタンとよく似た場所に広告のボタンが置かれていることがあり、それを本物と間違えてクリックすると、広告経由で「PC App Store」がインストールされてしまいます。
一度インストールされると、ブラウザを開くたびに偽のカード情報入力ページへ強制的に切り替わるようになります。強制終了や再起動をしても直らないのは、パソコンの中に原因のソフトが残ったままだからです。
対処法
何より大事なのは、表示された画面にカード情報を入力しないことです。まだ入力していなければ、金銭的な被害は起きていません。あわてて入力しないと決めたうえで、原因の「PC App Store」を削除します。削除のしかたは、パソコンの状態によって変わります。次のどちらに近いか、見てみてください。
画面を閉じられて、いつもの操作ができるとき
- 「設定」を開き、「アプリ」→「インストールされているアプリ」と進む
- 一覧から「PC App Store」を探す
- 右側のメニュー(「…」など)から「アンインストール(削除)」を選ぶ
削除が終わったら、パソコンを再起動して様子を見てください。
偽の画面が全体に出て、何も操作できないとき
実際に、この偽の画面がパソコン全体に表示され、閉じることも他の操作もできなくなったケースがありました。この状態では、上のように「設定」を開くこともできません。
この偽の画面は、インターネットにつながっている間くり返し出てきます。そこで、まずWi-Fiを切ってインターネットから切り離すのが有効です。
- Wi-Fiを切って、インターネットから切り離す
- パソコンを再起動する
- 偽の画面が出なくなったら、上と同じように「設定」から「PC App Store」を削除する
Wi-Fiを切って再起動しても偽の画面が出てしまうときは、「セーフモード」(必要最小限の状態でWindowsを立ち上げる方法)で起動してから削除する方法もあります。ただし立ち上げ方は少し専門的で、その途中で次に説明する回復キーが必要になることもあります。うまくいかないときや不安なときは、無理をせずご相談ください。
セーフモードを試す前に、BitLockerの回復キーを控えておく
セーフモードで起動する途中で、BitLocker(ビットロッカー、パソコンのデータを守るための暗号化機能)の「回復キー」を求められることがあります。これは48桁の数字で、パスワードのようなものです。手元にないと、その先に進めなくなります。
実際のケースでも、セーフモードに入ろうとしたところでこの回復キーの入力を求められました。セーフモードに進む前に、確認しておくと安心です。
別のスマートフォンやパソコンから https://aka.ms/myrecoverykey を開き、そのパソコンで使っているMicrosoftアカウントでログインすると、回復キーが表示されます。
BitLockerについては、こちらの記事でもくわしく説明しています。
回復キーが見つからないとき
Microsoftアカウントに登録がない、メモも残していないという場合、そのままセーフモードに進むと、パソコンを開けなくなってしまう恐れがあります。この場合は無理に進めず、この段階でご相談ください。回復キーの探し方からお手伝いします。
やってはいけないこと
- カード情報や個人情報を、表示された入力画面に入力しない
- 「今すぐ更新」「今すぐ修復」といった、身に覚えのない案内が出ても、そこから他のソフトを追加で入れない
- 表示された電話番号に自分から電話をかけない(サポートを装った別の詐欺につながることがあります)
再発防止
- ファイル転送サービスやフリーソフトのサイトでは、目的のボタンのまわりに、それらしく見せかけた広告のボタンが並んでいることがあります。どれが本物か分かりにくいときは、押す前によく確かめる
- ウイルス対策ソフトを使っている場合は、念のためスキャンをかけておくのがおすすめです
- 見慣れない画面が出てきたら、その場で入力を進めず、まず落ち着いて確認する
- BitLockerの回復キー(48桁の数字)を確認し、パソコンとは別の場所に控えておく(今回のような場面で役立ちます)
ご相談
見慣れない画面が出て不安な方、アンインストールがうまくいかない方は、デジタルアオバまでお気軽にご相談ください。作業内容にもよりますが、状況の確認とアプリのアンインストール程度であれば、30分・2,200円ほどで対応できます。